記事一覧

なぜ鉄筋歩掛は上がるのか?

ここに1967年(昭和42年)に出版された本があります。その本では「コンクリート1m3あたりの鉄筋量は108~133kg/m3」とあります。またその本の計算例では、集合住宅の鉄筋歩掛を100kg/m3としています。

色々な本でRC造の鉄筋歩掛(鉄筋kg/コンm3)を調べると
 1967年(昭和42年)出版 108~133 kg/m3 (上記の本)
 1983年(昭和58年)出版 110~130 kg/m3
 1984年(昭和59年)出版 100~128 kg/m3
 1988年(昭和63年)出版 130 kg/m3
年代が出版年で、実際にどの年代の歩掛かは分かりませんが、だいたい100~130kg/m3のようです。

最近5年間のRC造マンションの実物件で鉄筋歩掛を調べると
 RC11階 141 kg/m3
 RC 6階  145 kg/m3
 RC14階 149 kg/m3
実物件の値、色々な方からの話、私の経験などからすると、ここ数年の鉄筋歩掛は130~150kg/m3が一般的ではないでしょうか。

ところが昨年6月の建築基準法の改正以降、コストナビユーザーの方から鉄筋歩掛が上がっているとの話を良く聞きます。
つい先日もあるゼネコンの積算部の方から「200kg/m3の物件がある」とか、あるデベロッパーの方からは「当社の最近の平均は175kg/m3」とか、別のデベロッパーの方は「数年前は130~140kg/m3だったが、最近はもう少し上げっている」という話を聞きました。

私がコストナビを開発した10年ほど前は、110~130kg/m3くらいでした。
とにかく、ここ20年ほど鉄筋歩掛は一方的に上昇してるようです。

なぜこんなに鉄筋歩掛が上がるのでしょう。
私は2つの要因があると考えます。

まず1つは、1980年(昭和55年)の新耐震基準など、何回かの建築基準法や条例の改正です。これは間違いなく影響しているでしょう。
ただし昨年6月の改正は制度面の改正が主で、構造計算の方法に大きな変更はなく、鉄筋歩掛の上昇にはつながらないはずです。しかし実際には、建築確認を確実に通すためや、消費者の耐震性への不安から安全側の設計が行われ、昨年6月以降の鉄筋歩掛は上昇につながっているようです。

2つめの要因は、昔に比べ柱・梁が細くなっていることです。これは見落としがちな要因ですが、私はこれが長期的な上昇の主因だと考えています。
最近のマンションは、居住性(レンタブル比)を良くするために柱を細くしたり、階高を低くしても梁下寸法を確保できるように広幅な梁が多くなっています。
またコンクリート強度も昔より高め物もが使われるので、柱梁を細くできます。
細い柱は、コンクリートの断面積が少なくなるので、コンクリート強度が同じなら鉄筋の負担が大きくなり鉄筋が増えます。また幅広の梁も、構造的に不利なので鉄筋が増えます。

さらに、これは数字のマジックですが、柱梁が細くなると鉄筋歩掛の分母であるコンm3が小さくなり、結果として鉄筋歩掛が大きくなります。
細い柱梁は、鉄筋量の増加と分母のコン量の減少のダブルで鉄筋歩掛の上昇に効いてきます。

コストナビで10階建のマンションをシミュレーションすると、自動設定値は1階の柱寸法が1000×1000で鉄筋歩掛150kg/m3ですが、ユーザー設定で柱寸法を800×800にすると、鉄筋歩掛は175kg/m3と大きく上昇します。

皆さん、鉄筋歩掛についてどう感じていらっしゃいますか?
この下にある「コメント」のリンクをクリックして、ぜひ皆さんのご意見をお聞かせください。

コメント一覧

stnino Eメール 2008年04月08日(火)19時04分 編集・削除

おっしゃるとおりです。
最近の鉄筋の歩掛の異常値にはまいります・・・と、思っていたのですが、部材が小さくなってきているのには気が付きませんでした。
だったらコンクリートの施工床面積当たりの歩掛を追いかけてみてはどうでしょう。
延床は5~6年前か共用部や地下が緩和されたので使えませんよね。最近のデータなら問題ないですけど。
塔状比6以上(10F以上)は 1.0m3/延床 0.8m3/施床で6階建てまで0.6に近づくって感じで認識してますがそんなものでしょうか?

コメント投稿

投稿フォーム
名前
Eメール
URL
コメント
削除キー